もう流行ってないけどドラッガーの「マネジメント」からSIer事業を考える


流行は去ったけどドラッガーの「マネジメント」からSIer事業を考える

つづきです。

今回は「SIerという事業は顧客のイノベーションの実現を手助けすること」と仮定した場合にSIerが抱える諸所の問題が違った視点で見えてくるというお話しです。

① 顧客のビジネスを理解するのは難しい

エンジニアなら一度は顧客のビジネスを理解して仕事をするべきだ。と考えたことがあると思います。ただ、実際には難しい。

特に2次受け3次受けの仕事をしていると顧客のビジネスはどんどん変わる。しかし、難しい理由はまだまだあります。

顧客がわたしたちに発注するのは「イノベーションの実現のため」。新しいエンドユーザの欲求を掘り出す作業はマーケティングに沿ってビジネスをするより大変な「リスク」を伴うはずです。

私たちがどれだけよいシステムを組んでも、またはそれができなくても私たちの「リスク」はそれほど高くないはずです。

なぜなら、私たちにとっては顧客の欲求は顕在化している。つまり、「マーケティング」に沿ったビジネスをしているからです。

雑な言い方をすればわたしたちはシステムを作ればそれでもビジネスとして成り立ってしまうわけです。

このような意識になってしまうととても顧客のビジネスを理解することは適わないことだと思います。

また、顧客がわたしたちに発注した時点で既にイノベーションを実現するための「目標」や「事業計画」もちろん「予算」なども立てているケースがほとんどで、だから発注をかけているわけです。

そんななかで顧客のビジネスに入り込んでいくというのはさらに大変な作業なわけです。

しかし、顧客が「イノベーションの実現のため」に私たちに発注していることが理解できれば顧客のビジネスを理解しなくてもよいというのが間違えだということがわかります。それは後程説明しましょう。

② 頑張ったのに次の発注につながらない。または頑張ってないのに発注を継続してもらった。

今まで私はこの点に関しては「顧客の懐」次第。と思っていたのですが、それは間違いでした。

理由はやはり顧客は「イノベーションの実現」に注力しているからなんだと思います。

とてもリスクが高いなかで挑戦なわけですから、一方では「縮小」「撤退」も考えながらやらなくてはならない。これもビジネスの一側面だと思います。

しかし、私たちにとっては顧客ほどリスクを取ってはいないわけですから、システムの「完成」のみを考えて仕事をしているわけで当然そうしなければ対価ももらえないわけです。

この顧客との「ズレ」が誤解を生んでないでしょうか?

顧客にすれば「縮小」「撤退」は当然の選択。しかし、わたしたちは切られたと思ってしまう。

もう一つ考慮すべきは「完成後」。顧客のビジネスがこれで上手く軌道に乗ったとすればそれは私たちにとっても嬉しいことですが、ここで変化が起こるのを私は見逃してきました。

それは、イノベーションの達成後はエンドユーザの新しい欲求は「既に存在する欲求」に変わっている。ということです。

そうなると、顧客の考えることは「イノベーション」ではなく「マーケティング」ということになると思います。

ここではITの役割または顧客が私たちに期待することがぐんと減ってきたり変化したりするはずです。そこに気がつかないでいるといつの間にか私たちは不要になったのか?などと誤解を生むことになりそうです。

③ 二次受け三次受けは・・・という考え。

少なくても今私の周りにはこのような人がいないのが嬉しいことですが、前の会社では何人かはいました。「作れればいい」という人。

ただ、よく考えたら正解でもあるのです。私が前いた会社は二次受け・三次受け・・・の会社でした。

そのときの私の顧客は当然受注した会社またはその間に立ついわゆる「ブローカー」(と言ってもいいのかな?)です。

その世界は100%「マーケティング」の世界。顧客の欲求は「作れる人」。となればやはり「作れればいい」という考えも一理あると思います。

ただし、それだけの企業はそのうち立ち行かなくなるかも知れません。

ドラッガーも

マーケティングだけでは企業としての成功はない。静的な経済には、企業は存在しえない。そこに存在しうるものは、手数料をもらうだけのブローカーか、何の価値も生まない投機化である。

と述べてマーケティングだけでなくイノベーションとの両立が何より大事と説いています。

・・・とまた長くなったので結論は次回。最後は「じゃあどうする?」というのを考えてみたいと思います。今のところ言えることは・・・

@ たまに見かける「エンジニアにビジネスを勉強して欲しい」という言葉が凄く曖昧だな、と思った訳です。仰る通り、自分がどういう商売をしているのか自覚するという意味なら良いと思うのですけど、他の意味も含んでいたりするのかな、なんて。
@mah_lab
mah_lab

この問いに対して、私自身としての答えは「まさに他の意味も含まれている。顧客のビジネスを理解する努力なくしてSIerの事業はできない。」ということです。

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